【ドルトムント 対 モナコ】

ドルトムントのバスが爆発に巻き込まれる事件が起きて試合が1日遅れて開催されたドルトムント対モナコ。選手達は精神的ダメージを受けているだろうからもう少し時間を空けた方が良いんじゃ…と思いつつも遠くから来たサポーターの事を考えた判断ならば仕方ないかと納得。

ドルトムントのスタートシステムは3-4-1-2または3-1-4-2。香川が流動的にポジション動かしていたのであまりハッキリとしていなかったように見えた。
バルトラが離脱した3CBは右からピシュチェク、ソクラテス、ベンダーを並べてWBはギンターとシュメルツァー。中盤はゲレイロ、香川で低めの位置にヴァイグルが構えてる形。んで2トップはオーバメヤンとデンベレ。

一方モナコ。システムは普段通り4-4-2。メンディ・シディベが欠場でサイドバックにトゥレ・ラッジ、バカヨコが出場停止でCHにモウチーニョが入るというスタメン。

序盤からボールを保持していったのはドルトムント。3CB+ビュルキ+ヴァイグルで数的優位を確保。特にヴァイグルのポジショニングがイヤらしかった。モナコの2トップの間に位置して、2トップのどちらかがセンターバックにプレスを掛けようと前に出ようとすれば「あ、そのスペース使いまーす」と言うように空いたスペースを突いてくる。だから前プレが掛からずセンターバックに時間が与えられる事に。

CHがラインを上げて2トップを押し出す形もあるけれど、ゲレイロと香川がそのCHの背後を執拗に狙ってきていたのでモナコは守備の基準点を下げられてしまっていた。
ただそれも序盤だけ。前半5,6分でモナコがシステムを変更してプレスが掛かるようになる。サイドバックのトゥレを相手ウイングバックのシュメルツァーに当ててベルナルドシウバを前に押し出し4-3-3に。3トップがヴァイグルへのパスコースを限定しながら3バックをマンマークしてドルトムントのビルドアップの出口を制限していた。

ファビーニョはバイタルケアをしてルマールがサイドと中央を兼任。数的不利が発生するけれどその距離ならパスが出た後から動いても間に合うねって計算。若干ヴァイグルを制限しきれていない場面も見られたけれど前プレの強度は4-4-2システムの時より断然高くなっていた。

システム変更をする素早さから見るにジャルディム監督はあらかじめドルトムントの3CB対策を仕込んできていたのだろうね。準備の質が高い。
最終ラインでのボール保持&運びが困難になったドルトムント。ロングボールでプレス回避に移る場面もちらほら。ターゲットはウイングバックに入ってる190近くあるギンター。170cmのルマールとの空中戦の優位を活かして中に折り返したりスローインを獲得したりする形。

モナコ側からするとラッジも身長が190弱あるのでギンターに当てたかったのだけれどもオーバメヤンの引っ張りでポジショニングが低くなってしまいギンターと競り合った回数は1回くらいしかなかった。シティ戦でスターリングの裏抜けに対応しつつ追撃守備と競り合いもほぼ完璧にやってのけたメンディを見ているので若干物足りなさを感じてしまったっす。
苦労しながらもボール運びを成立させたドルトムント。崩しの局面でギアを上げるのはウイングバックからの斜めのパス。ライン間で待っている3人の誰かにボールが入ると一気に他の2人が飛び出していき相手DFラインを混乱させていた。速すぎて捕まえるの無理。そんでモナコの守備陣が2-3列目間を狭めようとラインを高く設定すればGKとの間にアーリークロスを入れますよと。

オフサイドやシュートミス、ファビーニョのすんげえ潰しが無ければドルトムントは前半の内に1点は返せていたなという攻撃だった。んまあラインブレイクは下手すぎやったね( 笑 )

変化が多かったのでドルトムント主体の話になってしまっていたけれど前半、試合をコントロールしていたのはモナコの方。強力だったのはやっぱりカウンター。ムバッペとファルカオはDFラインの間に走り込んで来るため、「こいつ誰が処理する?」という問題をドルトムントの守備陣に与えて続けていた。更にPKを獲得した場面のように一瞬のスピードでマーカーを振り切れるので、ショートカウンターでもお構い無しであった。

そしてその2トップにボールを届けるのがベルナルドシウバ。ラインを突破する推進力はもちろん、2トップのオフザボールによる相手DFの変化を見極めて決定的なパスを出せるという視野の広さも別格であった。

先制点は前半19分。この流れから。ベルナルドシウバがドリブルで運びファルカオ、ムバッペがニアへのフリーラン→ドルトムントのDF陣が釣られたところをファーサイドにルマールが走り込み、折り返しをムバッペが押し込んだ形。オフサイドに見えたけれど形としてはモナコが徹底してやっていた事なんでジャルディム監督は評価されるべきやろね。ベルナルドシウバの運びとスルーパスが素晴らしかった。
ん〜アーセナルに来て!( 笑 )

追加点は前半35分。モナコの定位置攻撃からだった。試合を通してドルトムントがボールを保持していたのでこの攻撃が見れた回数は少なかったけど、これがしっかり得点に繋がるあたりモナコの攻撃力ってやっぱり凄い。

そのモナコの定位置攻撃はCHのモウチーニョの散らしから始まる。ここで違いを生むのがルマールのポジショニング。逆サイドからやって来て部分的な数的優位を作り出し右サイドからの崩しを狙う。
当然ドルトムントはその数的不利を解消しようとするも、ドルトムントの撤退守備は5-3-2でサイドの枚数が少ないため、片方のサイドに寄せられてしまうと逆サイドが手薄になる。その弱い所を突いてラッジがオーバーラップを仕掛け、クロスからベンダーのオウンゴールを演出するという形。相手のシステムの弱い所をしっかり理解しているあたり、相当研究したんやろな〜。準備の質が高い(2回目)

"後半"

後半ドルトムントはベンダー、シュメルツァーを下げてプリシッチ、シャヒンを投入。その理由はモナコの前プレへの対策。

シャヒンとヴァイグルの2CHにした事でビルドアップの出口となれる選手が2人になりモナコ3トップはコース切りが困難になる。だからモナコのIHはこの2CHをマークする必要があり、今まで中央とサイドを兼任していたルマールが中央中心の守備となってドルトムントのウイングバックがフリー、もしくはSBと1対1にという状況を作り出す事が狙い。

この采配がより効いていたのが右サイド。プリシッチのドリブルでラッジを何度も置き去りにしていた。そしてそれを見てかデンベレも右サイドへやって来てハーフスペースでボールを受けたり、レーンに抜けたりとプリシッチと良いように絡んでいた。このウイングバックを起点としたプレス回避が成功し、ドルトムントは再びボール保持率を高めてモナコを押し込んでいく。

そして後半12分。ドルトムント1点返す。左ウイングバックのゲレイロのクロスをオーバメヤンがヒールで落としてそれに反応した香川がGKを外し、最後はデンベレが詰めた。
オーバメヤンの落としが意味不明だったんであれは仕方ない( 笑 )


失点後、モナコはベルナルドシウバを下げてディラルを投入。守備システムも4-4-2に変更。これ以上ウイングバックを自由にさせないためにサイドの枚数を増加させた。これによってドルトムントの最終ラインでの配置的優位が復活。序盤のようにCBに時間を与えられるように。
そんで脆さが出てしまっていたのがモナコのCH-SH間。普段、完全に自陣に引いて守備をする事が少ないからかSHの絞りが甘くデンベレ・香川に刻みを入れられていた。

ただ、それでもわからんのがサッカー。後半34分、ドルトムントの最終ラインでの組み立てを奪ったムバッペが決めてモナコ追加点。
ピシュチェクのパスが軽率やったな〜。

その後、後半39分に香川が全盛期ばりのキレで再び1点差に迫るも追い付けず試合終了〜。

3-2でモナコの勝利。

"まとめ"

トゥヘル監督は勝てた試合って感じてると思う。2失点は誤審と個人ミス。修正が実って追い上げが出来ていたのでチームとして手応えを掴んだと思う。精神的に難しい状況だっただろうけど良い試合だったね。

一方ジャルディム監督側からしてもPKやファルカオの決定機等を決めきれていれば、ドルトムントの息の根を止めれたのにねって感じがありそう。まあでもアウェーゴール3つ奪って勝利ってのは上出来やろね。離脱者が復帰してくるセカンドレグも楽しみ。

個人的に1番見応えがあったと思うのは香川とファビーニョのマッチアップ。香川がターンでスピードアップして置き去りにすると思いきや後ろからファビーニョの長い足が伸びてきてボールを奪いきったりと超ハイレベルで楽しかった。

そしてムバッペは凄い。ゴール前での落ち着き、フリーランのスピード・選択はトップクラス。あと、ルマールがあんなに柔軟な選手だとは知らなかったや。デンベレも結果を出し続けてるしフランス代表の未来は明るすぎる。

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