主にエジルのプレーを取り上げたメモのようなモノ【vsスウォンジー】
プレミアリーグ第10節スウォンジー戦、アーセナルは2-1で無事勝ち点3を獲得しました〜😁😁
で、この試合、元々ブログで纏めるつもりは無かったのですが(シティ戦・ノーロンで良いや。みたいな)、試合を見返せば見返すほどエジルの動き・意図に感心させられて色々と書きたくなってしまいました。
そのエジルのプレーに関するメモみたいなモノですが、読んで下さると嬉しいです。
両チームのシステムはこんな感じです。
・IHを釣り出してバイタルへ。
局面はアーセナルのビルドアップ、メルテザッカーからコシェルニーへボールが展開されたところ。ここでポイントとなるのは相手の守備システム。スワンズは図の通り5-3-2で撤退しています。
この5-3-2システムは、配置を保てれば中央の密度を高くする事ができ、バイタルエリアのスペースを潰せるという強味がある反面、他のシステムならば本来SHの選手がいるポジションが空いていてサイドで数的不利を作られやすいため、2トップ+3センターの選手達がどうにかこうにかしてサイドをケアしなければならないというウィークポイントがあります。
だったら、それを利用して中央の風通しを良くすれば良いじゃん?と言うのがエジル。
相手の3センター脇のスペースでパスを受けてみる。エジル程の選手にフリーで前を向かれては何をされるかわかりません。当然、相手はそれを避けたいので、スワンズのIHはエジルにベッタリ付いてきます。
エジルの狙い通りの展開。ベジェリン経由でそのIHのプレスを回避するとほら。
本来IHの選手がいるべきゾーンにスペースが出来ました。
↑恐らくエジルのビジョンはこう↑
(ここで間受け出来ればスワンズの最終ラインを晒した状態にする事が出来る)
ジャカがバックパスを選択した事によって攻撃を組み立て直す事になるのですが、エジルの動きの意図・狙いはわかりやすかったと思います。
ちなみに、ジャカのバックパスの選択が悪いと言う訳では無いです。こう言うちょっとした意図の食い違いというのはどのチームでも毎試合よくある事(勿論、意図が噛み合う事に越した事はない)なので。ベジェリンのパスがバウンドしていて、利き足と逆の右では処理し辛く、下がりながらの対応になってしまったという状況もバックパスを選択する原因になったのかなと。
まあここらへんが、このような場面でのプレーで異常な正解率を叩き出せるカソルラとの差であるなとも思ったりもしますが、カソルラ基準で話すのはハードモード過ぎるよねと。
・IHを釣り出してバイタルへ 2。
同じように、相手IHを釣り出して中央にスペースを作ろうという攻撃です。
先程の場面との違いはアーセナルの選手の配置にあります。
シャドウのエジルとWBのベジェリンのポジションチェンジ。恐らく、相手を動かせば結構中央でスペースを作る事が出来ると判断し、比較的余裕を持てるWBの位置の選手にカットインでの中央への切り込みや斜めの楔を求めたのだと思います。
このポジションチェンジはこの試合の中で頻繁に行われていました。
シャドウの位置に入ったベジェリンの役割は、基本的に外抜けのランニングで相手を釣り出す事。
ベジェリンがシャドウのポジションで華麗なターンだったり中央に切り込んだりするってのは難しいので、だったらそれらを出来て、攻撃に違いを生み出せるエジルにスペースを作ってあげようぜ!というプラン。
この場面ではその狙い通り、ベジェリンが相手IHのキャロルを引っ張った事によってエジルが切り込む事が出来るスペースを作れています。
↑エジルのビジョン↑
(キ・ソンヨンもラムジーに食いついているので、ワンツーが成功すれば完全に中盤を突破出来る…)
エジル「…ラムジー、お前もか」
なんて声が聞こえてきそう( 笑 )
※繰り返しますが、どのクラブでもよくある事なのでラムジーが悪いという訳では無いです。このようなプレーを一々批判してたらキリがないぜ。無論、意図が噛み合えば称賛されるべき。
この場面でも、エジルの動き方からエジルがバイタルエリアへの侵入を狙っていると言うのがわかると思います。
・ラカゼットを加えて数的同数だ!
局面はアーセナルのビルドアップ、ラムジーが最終ラインからボールを引き出してパスを右サイドへ散らしているところ。
その散らしをエジルが3センター脇のスペースで受けるお決まりのパターン。このシーンの特徴はCFのラカゼットが右サイドへながれてきている事。
ベジェリン・エジルのポジションチェンジと同じように、ラカゼットがこのようにして右サイドへ流れてくる事はこの試合何度も見られました。
サイドで3対3の数的同数。しかもエジル・ラカゼットが絡んでいるというのだから、アーセナルからすればここで崩しのスイッチを入れなくていつ入れるんだって状況です。
まずはラカゼットが相手の3人の三角形の中心で間受け→レイオフ。このエジルとラカゼットのさり気ないパス交換がとても重要で、外側に向いていた相手の重心を内側に集中させる事で、ベジェリンに掛かるプレスの強度を軽減させているんですよね。
受け手の事を考えた、気の利く選手とは彼らのような選手の事。
その後、エジルは外抜けのランニングで相手を引っ張りスペースメイク。ベジェリンに裏へパスor空いたスペースを使うという2つの選択肢を与えます(ベジェリンは空いたスペースを使う事を選択)。
これを見たキ・ソンヨンが慌ててキャロルが抜けたのゾーンのケアに動きますが、時すでにお寿司。
ベジェリンがラカゼットを壁役に使ってプレスを回避した事+逆IHのフェルをラムジーがピン留めしていた事により、人口密度が高いはずのバイタルエリアにスペースが!
………なのにアーセナルの選手も居ないと言う…。
サンチェスうううううう〜ラカゼットがサイドに流れたんだから絞ってこーい。君のポジションはウイングじゃなくてシャドウやぞーい。大外はコラシナツに任せんしゃい( 笑 )
・相手の守備陣にスライドをさせない。
アーセナルのビルドアップ。アンカーの位置にいるラムジーを経由しながら右へ展開しているところ。
ラムジーが相手の2トップ間にポジショニングしてスワンズの1列目をピン止め。ジャカはセオリー通り相手の守備が薄いサイドに開いて、攻撃の起点になろうとします。
本来ならスワンズのIHがスライドしてケアをするこの状況。ここでエジルのポジショニングが効くんですよね〜。
キャロル-キソンヨン間にスッと降りてきて、ジャカへアプローチしようとしていたキャロルを牽制します。
外より中央を塞ぐ事を優先するのが守備の基本。コシェルニーが前向きフリーでいつでもパスを出せる状態なので、キャロルはジャカへのアプローチよりもコシェ-エジルのパスコースの制限を優先するしかありません。
お陰でジャカはどフリーでパスを受けられるように。
しかし、パスが出た後からスライドをしても間に合う距離なので、これだけではまだスワンズのIHのスライド守備が成立する状態です。
これにトドメを刺したのが図にあるエジルによるキャロルの背後を取るランニング。
このエジルのランニングにキャロルが付いて来ればこの場面のようにジャカがフリーになる。キ・ソンヨンが付いて来ればラムジーの前方にスペースが出来る。キャロルがそのままジャカへアプローチに行けば背後をエジルが使える。
と言うように、このエジルのランニングはスワンズの中盤がどんなアクションを起こしたとしても、アーセナルに対してプラスに働く要素が多い状況を作り出しているんですよね。
で、ジャカがこれだけスペースを得られて圧力から解放されると…。
当然高精度ロングフィードが発射されますよね〜(  ̄▽ ̄)
んで、エジルの更に素晴らしい所はひと仕事終えたとしてもプレー・集中力を途切らせ無い事。
こう言う大きなサイドチェンジは、角度を大きく変える+相手の視線を長い間ボールに集中させるので、相手はマークミスを起こしやすい状況を作り出します。
はい。エジルはあの位置からもうゴール前に走り込んでいて、マークも完璧に外しています。
この場面ではサンチェスがクロスを選択しなかったため、エジルのこの動きがチャンスに繋がる事はありませんでしたが、「サンチェスのクロスをエジルだけが感じ取ってる!」と言いたくなるようなシーンをアーセナルファンの方は何度も目にした事があると思います。
それはこう言う適切なポジショニングと走り込みの繰り返しの賜物だな〜と感じさせられる場面でした😁
・外を使い続けるからこそ中が空く。
CB→3センター脇or大外の攻撃がこうも続くと、コシェがボールを保持した時にスワンズの選手達の重心は無意識に外へ向かってしまいます。この場面は大外にポジショニングしているのがエジルだから特に。
そんな時はこう!
(図のラインはベジェリンの理想というか、イメージ。)
外→中→外と相手の重心を振り回しての攻撃。サイドの深い位置・ペナ角からのクロスは相手のゾーンの隙間を突きやすいので通常のクロスよりうんと得点に繋がる確率が高くなるんですよね。得点チャンスを作りながら、相手の先読みスライドを牽制出来るという、良い攻撃だったと思います。
ただ、ベジェリンが顔を上げて中を確認した時のターゲットがラカゼットのみというのは寂しい。ラムジーが遅れてエリア内に入ってきているけれど、この場面はサンチェスがもうちょいゴール前に入って来てラカゼットがニアで潰れてもファーにアレクシスがいる!って状況を作って欲しかった。
・スペースを空ける+空いたスペースを使う意識。
後半、アーセナルはコシェルニーを前半より高い位置に押し出す頻度を高める等して攻撃の枚数に厚みを加え、スペースを作る+使う動きの意識を高めていました。
ラムジーからの展開を受けたコシェルニーは、ベジェリンへボールを預けてそのままパスandゴー。
そのランニングはキャロルを食いつかせる事でスペースメイクにも繋がります。
その空いたスペースでエジルが間受け。相手選手の三角形の中心で受けた事により、3人がエジルに反応しています。
1人にこれだけの人数が食い付けば他にフリーの選手が出来るのは必然です。
フリーとなったラムジー・ジャカが逆サイドへ展開→スワンズの3センターを全体的に右に寄せていた事でサンチェスをスルーパスも、コラシナツのオーバーラップを使う事も、それを囮にしてカットインする事も出来るってゾーンに配位出来る。
…というかなり良い状況に持っていけました。
次のシーンでもそう。
エジルが大外に流れるのでベジェリンは相手SB-CB間に絞ります。
キャロルがエジルに圧力を掛け、キ・ソンヨンはジャカを捕まえているので…
守備の基準点を乱すためにベジェリンは間受け。
キ・ソンヨンがそれに食い付いてくれたので、キ・ソンヨンの本来のマークであるジャカがフリーに。
んで、先程と同じく右サイドに相手を寄せているので、逆サイドに展開すると数的優位が作れるという流れでした。(サンチェスが足元でボールを欲しがったので、この数的優位は活かせませんでしたが。)
これらの味方・敵を動かして得たスペースを使う意識が数字に繋がったのが同点ゴールですね。
まずはジャカが相手2トップ間にポジショニングしてスワンズの1列目をピン止めし、その脇のスペースをコシェルニーが使う所から。
コシェルニーは大外でフリーのエジルにパス。
エジルにクルーカスが食い付いたのでその裏をベジェリンが、ベジェリンが外に抜けてキャロルを引っ張った事により出来たスペースをジャカが使います。
ジャカはベジェリンへのリンクを行いパスandゴー。キ・ソンヨンを引っ張る事で相手の守備の重心を下げさせ…
エジルがフリーに。
で、もう一度クルーカスがエジルに付いてきたので、その背後のジャカへパス。最後はゴタゴタしている内にゴールが決まってしまいましたが、それまでのボール運びは評価出来るモノだと思います。
・忘れた頃にやってくるコシェの縦パス。
エジルの横幅確保→コシェルニーの縦パス→ジャカのリンク→ベジェリンのクロス→ターゲットのラカゼット、という前半のプレーを丸ごと再現したかのようなプレー( 笑 )
前半との違いはサンチェスがゴール前に詰めている事。同点ゴールの場面もそうであったし、ハーフタイムに修正されたんやろね。
・支配率を高める事で相手に攻撃の機会を与えない。
同点ゴールの起点となったスペースを作る・使うの動きはボール支配率を高める事にも勿論使えます。
それがリードしている事によって、慌てて勝負を挑む必要が無くなるとなると…。
ピッチの至る所に三角形や菱形が…。それも頂点が変わりに変わるので相手はかなり捕まえ辛い状況。
全く奪われる気がしないし、ロストするとしても高い位置でのモノになるので直ぐに奪い返せる(  ̄▽ ̄)
そんなこんなで時間を使っていき試合は2対1で終了しましたとさ。
・終わり
エジルのプレーに付いて取り上げるつもりが、グダグダやっている内に纏まりの無い記事になってしまいました😅
まあでも、色々吐き出せたので満足です。最後まで読んで頂き有難うございました。
コメント
コメントを投稿