【チリ 対 ドイツ】

コンフェデレーションズカップ・グループリーグ第2戦。初戦のカメルーン戦に2-0で勝利したチリはその試合で途中出場から2得点に絡んだサンチェスがスタメン復帰。
対するドイツはこの大会を若手を試す場に当てているみたいで、初戦のオーストラリア戦からレノ→シュテーゲン、ブラント→ギンター、リュディガー→ズーレ、ヴァーグナー→チャンと4人を入れ替え。重心を下げた戦い方をするぞ。そんなメッセージが聞こえてきそうなメンバー選考だなと( 笑 )

・チリのプレッシング

試合は序盤からチリが激しく前プレを仕掛ける展開になる。3CBでの配置的優位を狙うドイツに対して2トップを両脇のCBに、ビダルをムスタフィに引っ付ける事でドイツに最終ラインで時間を確保させない事が狙いだった。特にオーストラリア戦で最多パス成功数を記録していて攻撃の起点だったムスタフィに、プレス強度が高くコース切りが抜群に上手いビダルを付かせたのは効果抜群で、ビルドアップの破壊とポジトラの起点の確保を両立させる事が出来ていた。またシステムの噛み合わせ上、浮く事が多くなるWBにはSBの素早い縦移動で前を向かせず狭いゾーンに閉じ込めておく事で対応していた。チリのインテンシティの高さは異常…。

そして早々の前半6分にチリ先制。ムスタフィのパスミスをさらったサンチェスがビダルのポストを使って抜け出し、シュテーゲンとの1対1を制して得点。

ムスタフィは間合いを削られると慌ててしまい周りが見れなくなる場面がこの時以外にもあったのでここは課題やな〜。前プレの上手さがトップクラスのビダルと対峙したからこそ発見出来たもの。

・守備をハーフラインからに設定するドイツ

メンバー選考からの感想通りドイツは前からプレスを掛けることはせず、5-4のブロックを構築していた。それも4の中盤の選手達は相手に噛み合せるというより、均等な距離感を保ちながらスライドしてペナ幅を守っているような感じ。狙いはビダルやサンチェスがビルドアップに加わろうと降りてきても枚数不足を起こさないようにする事だった。

しかしデメリットとしてチリの最終ラインにスペースと時間を与えてしまう事になる。チリのDF陣に縦パスをバンバン打ち込めるような選手がいるって訳では無いが、チリの前プレ兼自陣からのボール運びに苦しんでいたドイツにとってボール奪取の位置が低くなるのはかなりのマイナス。こうした理由からドイツはボールを奪ってもなかなか敵陣までラインを上げられずネガトラからピンチを招いていた。

・チリの前プレに対してのドイツの解決策

ビルドアップの出口を掴めないドイツは前半15分あたりから両脇のCBに横幅をとらせてチリの前プレ隊の分裂を図るようになる。チャンやルディを4バック変換とまではいかないけれどアンカーの位置まで降ろして数的優位を確保、またアランギスが付いてくればヘクターやドラクスラーが空いたスペースに侵入するという仕組みだった。
ただ結果を言うとこれは機能していなかった。アランギスは殆どアンカーに付いていったのだけれど、空いたスペースへ出せる選手がいなかった。シュテーゲンからでは距離が遠く、ムスタフィには変わらずビダルが。よってドイツは別の解決策を模索する事になる。
ドイツが試みたもう一つの解決策はサンチェスの背後をキミッヒにとらせる事。元々浮く事が多かったキミッヒをSBの縦移動が届かないCHの位置へ移動させプレス回避と中盤で数的優位を確保する狙い。プレスバックにムラのあるサンチェスのところが穴だと睨んだのだと思う。

これが当たりだった。キミッヒがCH化してチリの守備の基準点を乱した事によりマークがズレて左サイドのチャンが完全にフリーに。その流れからヘクターのクロスをシュティンドルが合わせて前半41分、ドイツ同点。そしてそのまま前半終了。

・プレスを外すために4バック!

後半ドイツはCB-SBのスライドを利用して4バックで組み立てを行うようになる。ズーレがSB化する場面もあったが主にギンターがその役割を担っていた。このシステム変更によりシュテーゲン-ムスタフィ-ルディ-ズーレで菱形を形成し、ビダルのプレスを4対1で回避出来るようになる。よってチリの運動量が全体的に落ちてきた事もありビダルはルディ番になっていく。

ビダルをルディでピン止め出来るようになったためCBが時間を得られるようになったドイツ。前半に引き続き右サイドをビルドアップの出口に設定する。ビダルの圧力から解放されたムスタフィは前半のようなパスミスはあまり見られず、楔の打ち込み等も安定していて次第にドイツのボール保持が高まっていくように。

プレスラインを下げたチリはロングカウンターを仕掛けようとするもルディの早い段階でのファールなどで潰され、後半はチャンスらしいチャンスを作れず。またドイツも引いたチリを崩すのに苦労していたため、大きなシステム変更等は行われず采配は引き分け狙いのものとなり1-1で試合終了。

・感想

ドイツのCHにはもうちょいファイナルサードでの貢献度が欲しいなと思った。特にチャンは自分がフリーになっていてもヘクターへボールを流して、攻撃をスピードアップさせるタイミングを逃したりする勿体ない場面が見られた。
チリはとにかくビダルがえげつなかった。ボールは刈り取ります、ビルドアップの起点になります、空中戦にも勝ちます、得点にも絡みますって1人で何役してるねんと。トップ下でバイエルンの時より自由が与えられていたためその存在感がより一層高まっていた。

・ムスタフィ

失点シーンのパスミスや追撃スカシ等、課題が浮き彫りに。フィードを買われて中央で使われてるんやろけど、1回3CBの右で見てみたいな〜と。推進力はそちらの方が絶対に活きると思うから。

・サンチェス

やっぱりこの人は凄かった。得点シーンのようなトランジションでもそうだけれど、チリの遅攻は殆どサンチェスのアイデアと打開力で解決してた印象。
MOTMおめでとう( *´︶`*)

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